結婚相談NPOの影山です。
突然ですが、皆さんは「デートDV」という言葉はご存知でしょうか?
私は結婚相談NPOを立ち上げた10年程前、NPO運営の知見を得る為に多くのNPO法人と交流するようにしておりまして、その中で「デートDV」の説明を受けた際に知りました。
今も「影山さん、婚活は絶対に関係ありますよ!」と言われたのが頭に残っていて、その後、婚活当事者から相談を受ける中で「これはデートDVだ」と思い当たることが増えてきたという感じです。
一番の問題は「加害者が意識をしていない」これにつきると思います。仮に気付かないまま婚活を続けていたとしたら、成婚までたどり着くでしょうか?
もし、これが原因で婚活がうまくいかない方がいたら、自認する事から始めないといけません。
このコラムは、デートDVについて認識をしていただき、婚活デートからその要素を排除していただきたいという想いから、書かせていただいています。
デートDVとは?
まず、デートDVについて簡単に理解をしましょう。
多くの方が「DV(ドメスティック・バイオレンス)」についてはご存知のことかと思います。家庭内で起こる暴力や虐待の事ですね。
それに対して「デートDV」はデート中のドメスティックバイオレンスを指し、恋人同士の間で起こる暴力や虐待を指します。
両者の最大の違いは「関係の性質と暴力が発生する状況」で、婚活の場合は全て「デートDV」に該当します。
また、喧嘩とデートDVとの差は「対等では無く、一方的に支配される事」とされています。
交際を続けていくうちに態度が急変する事もあり、早め早めに気付く事が解決に繋がります。
なお、デートDVについては様々な調査結果が発表されていますが、注目すべきは加害者側が「男性とは限らない」という点でしょう。少なくとも私の中では「DV加害者は男性が多い」という印象があったのですが、調査の中には女性の加害率が圧倒的に高い結果もありました。
デートDVの実例
「デートDV」という言葉も一般的になってきましたので、検索をすると幾つもの実例を見つけることができます。
中には殺人事件まで発展してしまったいたましいケースもあり、別れ話しの顛末という報道をよく耳にします。
「愛情表現」との境が分かりにくい事あり、気付いた時には手遅れという程にエスカレートしていたという事も多々。
恋愛感情が出てしまうと自身での判断が難しい為、有識者たちは一様に「早め早めの相談」を呼びかけています。
殺人事件は極端な例だとしても、デートDVを体験した人の多くが自己肯定感を失ったり、異性嫌悪、不眠に陥るなどの影響を訴えるなど、今後の婚活や人生そのものにまで影響しそうなので、注意が必要です。
デートDVの種類
デートDVには「身体的、心理的(精神的)、性的、経済的」といった形があると言われています。
公共機関において、デートDVの担当は内閣府や各自治体の男女共同参画チームが担当する事が多くなっていますが、内閣府男女共同参画局が3年に1度「男女間における暴力に関する調査」を実施しています。この調査は対象者が「20歳以上の男女」と幅広く未婚率も約20%なので、 令和2年度調査のうち「交際相手からの暴力について」の部分のみ、デートDVの種類別にチェックをしてみましょう。(n=2,193)
身体的DV
身体的DVは「殴る、蹴る、突く、つねる」など、身体に対する直接的な攻撃を指します。
今のところ私は身体的DVの報告・相談を受けた事はありません。スタッフ担当分を入れるとかなりの数の婚活事例を経験しているので、さすがにこの身体的DVは滅多に無いと思われます。
心理的(精神的)DV
心理的DVは、脅迫、恫喝、名誉棄損、ガスライティング(相手の認識や記憶を操作し、精神的に混乱させる行為)など、精神的苦痛を引き起こす行為を指します。
これも婚活の時点ではあまり無いと思うのですが、微妙なところで「LINEの無視」や、逆に「LINE即返信の強要」などが抵触しそうです。
その他、レアケースですが、婚活者さんから「ホラー映画の強要」を相談された事があります。私も「一緒にウォーキングデッドを見ないか?」と提案した事があり、あぶない所でした。映画館デートではタイトルをお相手に選んでもらうのが有効かもしれませんね。
性的DV
性的DVは、非同意の性的行為や性的な行為の強要を指し、きわどい写真の撮影を求めたり、アダルト動画を見せるなどの行為も該当します。
結婚相談所の活動では、基本的に性行為が禁止されているので、これもほぼ無いと思いますが、同時にゼロでも無いと思っています。信頼関係があるからといって何でもかんでも話していただける訳では無く、黙っているケースもあるだろうからです。
程度問題で言うと、セクハラレベルの話しは定期的に耳に入ってきますので、皆さんの行動がコミュニケーションレベルなのか、セクハラレベルなのか、性的DVなのか?は、意識していただいた方が良いkかもしれません。
経済的DV
経済的DVとは、お金や資源に対するコントロールを行い、パートナーを経済的に依存させる行為を指します。また、借りた物やお金を返さないなども該当します。
おそらく、婚活に一番影響してくるのはこの「経済的DV」でしょう。とくに微妙なラインにあるのが「デート費用の負担」です。
私のような昭和のおじさんは、例え経済的な余裕が無くても「奢る。割り勘なんてとんでもない」と考えている人が多いと思います。見栄っ張りとも言えますが、婚活においてはプラスに働くでしょう。
それに対して、今は男女平等が叫ばれ、女性の社会進出が進む世の中。男性側からの「デート費用は割り勘にすべき」という意見が着実に増えていると感じています。
実際、結婚相談所のルールは建て前的な部分もあり、男性負担をルール化しているのは「お見合いのお茶代」に限定されている筈です。(※連盟による)
デート代に関しては「どちらでも良いけど、負担した方が無難だよ」というのが、本音でしょう。
どうせ結婚したら財布は曖昧になるのが一般的なのですから、私でしたら「負担した方が安上がり」と考えます。
あと、借りた物を返さないトラブルも実際にありました。
これが本当に大変で、返却相手の住所を教える事もできず、結婚相談所の中には所属相談所もばらしてはいけないというルールがあるので、借主>借主所属相談所>貸主所属相談所>貸主という返却ルートを取る必要があり、送料の振込手数料等の費用負担でじゃっかん揉めた記憶があります。
婚活当事者と2社の相談所、四者四様に嫌な思いをしたので、物やお金の貸し借りは控えましょう。そういえば男性側が「今持ってないから立て替えてもらって良い?」と言い、「別れたいのにお金が返ってこない!」と揉めた事もありましたね。
デートDVが発生しやすい状況
デートDVは一般的に「恋愛感情が大きく働く自然恋愛の方が多い」と言われていますが、段階的に恋愛感情が育まれる婚活でも当然あります。
例えば、デートDVには「支配力」が影響すると言われていて、「真剣交際(交際相手をお互いに限定する)に移行したタイミング」などで表に出る事もあるようです。(この説明だと、真剣交際に躊躇してしまうかもしれませんね‥)
デートDVの加害者になりやすい性質
婚活においては、相手や自分がデートDVの加害者になりやすい性質・気質を持っていないか?を把握しておく事が大切です。
一般的に以下のような特徴がある人物は、デートDV加害者になりやすいと言われています。
- 征服欲が強い:着ている服や、時間などを過度にコントロールしようとする人は、その兆候があるとされています。
- 過剰な嫉妬:自分以外の人との接触を制限するように求めてくる人がいます。例えば、会社の飲み会などよりもデートを優先するように言ってくると、過剰だと言えるのではないでしょうか。
- 否定的な言動:婚活において「自己肯定感」は重要な素質ですが、これが高過ぎると「自分は正しく、他は間違っている」という考えに陥りやすいと感じます。悪化すると他責思考になり、何でもかんでもお相手のせいにしてくるので、エスカレートしやすい性質と言えるかもしれません。いずれにせよ、お相手だけでなく、他者に関しても否定的な言動は慎むべきです。
- 気分屋:感情的な不安定さや極端な気分の変動は、怒りを制御できない事のあらわれで、一般的なDVの兆候と言われています。
交際相手がこれらの特徴に該当するからといって直ぐに分かれる必要はありませんが、意識はしておいた方が良いでしょう。
婚活で起こり得るデートDVを考える
ここでは、婚活においてデートDVが起きやすいタイミング等を考えてみましょう。
まずは「お見合いが終わって交際成立直後」が挙げられると思います。無駄な時間を増やしたくないという考えから「すぐにでもデートをしたい」というのが一般的な感情だと思いますが、交際成立直後というのは、他のお見合い予定も残っていたりするものです。交際成立後2週間位は、なかなかデートができなかったとしても感情的にならないようにしましょう。中には「2週間も先の日程を提案されて、私に興味が無いに決まっている」と言い出す方も居ますが、そうならば交際成立はしません。「2週間位は仕方ない‥」こう考えるようにする事をお勧めします。
次に起きやすいのが「恋愛感情が湧いたタイミング」でしょう。お見合いの段階で一目ぼれというのは、なかなか無いと思うのですが、会う回数が重なれば恋愛感情が湧くのは自然な事です。この時は束縛欲も出るでしょうが、心理的(精神的)DVにならないよう注意が必要です。
そして「飲酒時」も注意が必要です。一般的に人はアルコールが入ると節度が無くなり、極端な行為を起こしやすくなる傾向があります。お酒で人格が変わる人は一定数居るので、そういった自己認識がある方は、この際、禁酒をすべきです。
レアケースではありますが、以前、仕事で失敗をしてしまった時にパートナーにあたってしまったという報告を受けた事があります。説明がへたくそですが私の担当会員さんがあたられた側で、残念ながら交際終了になりました。仕事等でのトラブルがあった場合は、デートも無理に実施せず、リスケジュールも念頭に置いた方が良いかもしれません。
最後に、一番あやういのは、やはり「交際終了のタイミング」でしょう。まずは交際終了は仲人を通して伝えるようにしてください。仮にも交際に至った相手に対して義理に欠けるという律儀な方もいますが、直接伝えるとトラブルに至る事があります。実際、大抵の相談所では「直接伝えてはいけない」とルール付けされている筈で、律儀に伝えた結果「余計に傷つけられた!」とクレームが入った事もあります。
結婚相談所の活動では交際終了後、連絡先の消去が求められます。もし連絡があった場合(残念ながらたまにあります)相談所間での解決を試みますので、仲人さんにご相談ください。
マッチングアプリはデートDVリスクが高い?
結婚相談所ではそこまでの抑止力になるかどうか?は分かりませんが、仲人が絡む分、デートDVが発生する可能性は低いと思います。
交際終了も直接連絡をすると揉めやすいので、仲人を経由して伝える事ができます。(これをフラれやすいと感じる人も居るかもしれません)
また、男女間の事なので、小さな揉め事はそれなりにありますが、そのほとんどは仲人を挟む事で解消する事ができます。恐らくですが、重要な個人情報を預けているという心理的な障壁が大きいのでしょう。
それに対して、マッチングアプリはそういった抑止力がほぼ無いと私は思っています。中でも他人の身分証明書で登録できてしまうようなアプリだと、リスクは致命的に高まるでしょう。
デートDVの解消法
繰り返しになりますが、デートDVは加害者側が気付いていない事も多く、まずは認識をさせる必要があります。
実際にはその努力をするのは面倒なので、交際終了を判断してしまう方が多いと思いますが、既に交際終了を躊躇する程度に愛情が有る場合は参考にしてください。
デートDVを認識させる方法
まず、順番が大切で、仲人や専門家に相談をせずにいきなり本人に伝えるのはお勧めできません。
お相手が実際にデートDVの性質を持っていた場合、感情的になる事も十分に予測できるからです。
仲人や専門家に相談をした後、直接話すという決断に至った場合、2人っきりの閉鎖空間では無く、プライバシーが確保される程度の空間をようした公共の場で話しをするのがお勧めです。
指摘する際には、具体的に「どの行動がDVに該当するのか?」を挙げます。私も教えてもらったのですが「人格否定をしない」がポイントだそうです。
その上で、解消が出来そうか難しそうか?を問い、協力を申し出ましょう。
その後はある程度時間がかかる事もあるかと思いますが、婚活においては交際期間が制限されている事が多い筈です。(IBJは3ヶ月)
その為、仲人との連携は欠かせないと言えるでしょう。
婚活におけるデートDVの相談先
結婚相談所の場合は、仲人さんがついているので、仲人さんへの相談が一一般的です。ただし、仲人さんはほぼ「交際終了」を勧めてくると思われます。(私でも原則はそうします。)
別れたくない場合はひょっとすると我々では役不足で、外部機関への相談が良いのかもしれません。
相談先は実は色々と存在しているのですが、デートDVの場合は内閣府が運営している「DV相談+」が良いのではないかと思います。
ニュースを見ていると警察に相談するケースも多いようですが、結局、警察は「被害届が出ないと動けない」という部分が強そうなので、初期の相談先としては相応しくないのではないでしょうか。
という訳で、まずは友人>仲人に相談。それで解消しなかった場合は外部に相談という順がお勧めです。
なお、仲人はお相手方の仲人と協力して解消しようとする事がありますので、仲人に相談をする場合は「ここまでは相手に伝わっても良い。これ以上は伝えないでほしい」という線引きを共有する事がポイントになるでしょう。
デートDVまとめ
デートDVは正直、なかなか治らないのではないかと思っています。その為、原則交際終了をお勧めしているのですが、最終的な判断はやはりご自身でしていただかなくてはなりません。
課題を乗り切って夫婦仲が良好になったケースも、私の知り合いレベルであるにはありますが、特に「惚れやすいタイプ」の方は、積極的に第三者の意見に耳を貸すべきだと思います。
投稿者プロフィール
- 結婚相談NPO設立以来、障がい者婚活を長く担当していましたが、障がい当事者仲人が参加してくれましたので、地方婚活に力を入れるべく「婚プラ」を立ち上げました。
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